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【マンガ専科本先出しnote】絵の上達を図るポイントは「暗記」!

コルクラボマンガ専科」でお伝えをしている講義の内容をお届けします。前回の「イラストを学ぶために必要なことはセンスではない!」につづき、より具体的に「イラスト力をアップする方法」についてお伝えしていきます!

絵の上達を図るポイントは「暗記」!

◆必要情報を読み取る

カクテルパーティー効果という言葉をご存知でしょうか? 
ガヤガヤとしたお店の中でも、自分が興味のある人とカクテルを交わしながらの会話はきちんと聞き取れるという現象のことです。これは、人の持っている「集中力」のなせる業です。
さらに、目の前の話に集中していても遠くで自分を呼ぶ声が聞こえれば、これにもまた反応できます。つまり、必要な音声はどんな騒がしい状況下でも聞き取ることができるのです。目の前の会話に没頭していても、ほかの情報をシャットアウトしているわけではないのです。脳のCPUはいかなる時も動いています。

絵を観る時も同じです。みなさん美術館に行って、フェルメールの絵を観る時に、何分くらいその前に立ち止まっていられますか。1分間も鑑賞できなければ、残念ながら何も観ていないも同然です。絵の横にあるキャプションをぱっと読み、「そういうことか」とわかった気になって去っていくような見方になっているのではないでしょうか。絵を観る時にはすべて視界に入っていたはずなのに、脳すべてを使って捉えることはできていないということです。

すなわち、大半の人が「鑑賞」を正しくできていない。もっというと、「鑑賞」の中の「観察」が正しくできていないのです。


◆鑑賞の方法「ディスクリプション」

絵画を鑑賞する上で、きちんと観察する方法をお伝えします。それは、ディスクリプションという方法です。ディスクリプションとは、見たものをすべて言葉で解説することです。

主観は入れず、目で見えた事実だけを声に出していきます。フェルメールのことを知らない画家が、そっくりそのまま描けるように説明するのです。

例えば、
「この絵は中央にふくよかな女性が立っています」
「女性は白い頭巾をかぶっています」
「黄色い服を着ています」
「腕はまくっています」
「その腕は筋肉質です」
こんなふうに解説すると、フェルメールの『牛乳を注ぐ女』に近づいていきますよね。

マンガ家の絵も同様です。これまで憧れのマンガ家の絵を漠然と眺めていたかもしれませんが、声に出して特徴を解説すると、無駄な線は1本もなく、瞳にはこんな特徴があるといった発見ができるはずです。

「見ていれば覚えられるよ」と思うかもしれませんが、口にすることで新たな発見があります。すべての箇所をしらみつぶしに口に出してみることで、きちんと意識に上げて観察することができるのです。

美術館は、美意識を鍛えたり、観察力を上げたりできる最高の場所です。ぜひ館内でも、ブツブツとつぶやいて絵を観察してみるとよいでしょう。すべての絵で行うのは大変でしょうから、一番気に入った絵を1枚選んで徹底的にディスクリプションしてみてください。これを繰り返すことで、絵を観る観察力が養われます。

ちなみに、ディスクリプションの副産物として、客観的なものの見方ができるようになるということがあります。この客観性も絵を描く上で役に立ちます。マンガを描いていると、没頭して6時間くらい経っているなんてことがあるでしょう。描き終わった瞬間には、「うわぁ! うまく描けた!」と満足感に浸るかもしれません。しかし、翌日見てみると案外ひどい出来だということがあったりして……。
これはつまり、没頭していると客観性を失ってしまうということなのです。客観視できるようになると、スピーディに自分にダメ出しをすることができるようになります。

マンガ専科では、他のメンバーのイラストを見ることも多くあります。相互にディスクリプションすることで、実りある学びにつなげていくことができるのです。

◆構成要素を暗記する

絵をうまく描くためには、構成要素を暗記することが描かせません。その意味を実感してもらうために、ワークに取り組んでもらいましょう。

【ワーク】見慣れたものを改めて描いてみる
コアラと白熊の顔を真正面から描いてください。

どうでしょう? うまく描くことができましたか? 

以下のように、コアラと白熊を描けた人はだいたい構成要素が抑えられています。

コアラは、鼻が下が広く、目の位置は離れています。この位置関係が概ね捉えられていればコアラだとわかります。大事なのは構成要素を暗記することです。目と鼻の位置だけで動物を表現できます。犬は犬の、猫は猫の、キリンはキリンの位置関係があります。

「えっ、絵を描くのに暗記?」と思うかもしれませんが、文字もかつて暗記して覚えましたよね。暗記があるからこそ、表現ができるのです。

みなさんは動物番組を観ていて、「キリンだ」「チーターだ」と見分けることができますよね。見分けられるのに、描けない人が多い。それは、構成要素を暗記するための見方をしていないからです。アウトプットをする前提で見ることで、構成要素を暗記することができます。

「あらゆるものを覚える」というと途方もなく感じるかもしれませんが、50個から100個ほど覚えると覚醒します。覚えるのが早くなり、効率的に描けるようになるのです。
ひとつひとつ粘り強くアウトプットをする前提で構成要素を暗記していきましょう。

◆自撮りをして描いてみる

【ワーク】遠近感をどう出すか
人が人を殴るところを上半身だけマンガで描いてください。

いかがでしょう、うまく描けましたか。
殴られた時の手前の拳と奥にある顔のサイズは、何倍くらいの違いがあるでしょうか。これを、ひとりでリアルに描くことは簡単なことではありません。こうした時に参考になるのが、自撮り写真です。自撮り写真と見比べながら、顔の位置関係を取ったあと、体は描かずに前の手と後ろの手を描くとよいでしょう。

自撮り写真通りに描くと、顔の6倍から7倍の拳のサイズになります。これには、抵抗感を覚える人もいるかもしれませんが、少年マンガをよく見てみてください。実際に、手を顔の何倍もの大きさで描き迫力ある表現をしています。
自撮りは遠近感を捉える上で非常に有効な方法なのです。

◆絵を描かずに上達する

絵を上達させるためにはどうしたらよいでしょう。「ひたすらたくさん描く!」と応える方が一番多いかもしれませんね。もちろん、その努力はとても大事です。しかし、それではあまりにも時間がかかってしまいます。

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