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「インスタントなビジネス本は、あなたを特別な存在にしない」 北野唯我さんと語る"ファンタジーの可能性"。

経営とは何か? 経営者のあり方とは?
この問いを深く考えさせられる一冊と出会った。

北野唯我さんの最新作『分断を生むエジソン』だ。

この本では、経営に関する抽象度の高い内容を届けるために、あえて「小説」の表現を用いている。

いい小説とは読み直す度に新しい発見をもたらしてくれるもの。『分断を生むエジソン』も、会社の成長フェーズや組織における自分の役割が変わる度に、何度も読み直したい作品に仕上がっている。

「ビジネス文学」の作家として、とんでもない才能を北野さんは秘めていると感じたのだが、先日、僕が出演しているYoutubeチャンネル『ドラゴン桜チャンネル』で北野さんと対談を行った。

テーマは多岐にわたり、『分断を生むエジソン』の魅力から、これからの企業において求められることビジネス文学の可能性僕から作家としての北野さんへのアドバイスなどを話した。その対談をコルクラボのメンバーがレポート記事としてまとめてくれたので共有する。

<記事の書き手 = 井手桂司

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北野唯我(きたの・ゆいが)さん
兵庫県出身。神戸大学経営学部卒業後、博報堂へ入社し、経営企画局・経理財務局で勤務。その後ボストンコンサルティンググループを経て、2016年にワンキャリアへ参画、執行役員として事業開発を経験。子会社の代表取締役、社外IT企業の戦略顧問の兼務などを経て、現在ワンキャリアの取締役最高戦略責任者。デビュー作『転職の思考法』が16万部、続く著書『天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩むすべての人へ』が10万部とヒット。著者累計30万部を突破した。

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あえて「小説」の表現を用いた理由とは?

北野さん:
『分断を生むエジソン』と『OPENNESS(オープネス) 職場の「空気」が結果を決める』を同時に発売したんですが、エジソンは感想が真っ二つに分かれていて、ボロクソに言われることも多いんですね。

そんな中、佐渡島さんから「分断を生むエジソンは傑作ですね!」というメッセをいただいて、本当に嬉しかったんですよ! 僕としては、すごく救われた思いでした。

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佐渡島:
お世辞抜きに傑作だと思いました。こんなに経営に対して抽象度が高いテーマを、物語の形を使って、わかりやすく文章に落とせるなんて、純粋にすごい。

『分断を生むエジソン』では、会社という組織の中で誰が「偉い」とか「正しい」ではなくて、人それぞれに役割があり、「役割の違いをお互いが理解することが大切」という北野さんのメッセージが根底に流れているじゃないですか。

そのメッセージを読者と共有するために、小説の表現手法を選んだのは正解だと思ったし、実際によく書けているなぁと。プロの作家ですら、このテーマで、ここまで辻褄を合わせた物語を作るのは難しいと思うんですよね。

北野さん:
ありがとうございます。僕としては、『分断を生むエジソン』をインスタントなビジネス本にしたくなかったんです。夏目漱石の『こころ』や『アルケミスト 夢を旅した少年』は、年齢や立場が変わる度に新しい発見があるじゃないですか。そのビジネス版を生み出したかったんですよね。

世の中の多くのビジネス書には、誰にでも理解しやすく、すぐに役立つ知見がまとめられています。でも、それは読む人を「特別な存在」にはしてくれません。なぜなら、理路整然とされすぎていて、読者に同じ効用しかもたらさないから。考える余白がないんですね。

その人を特別な存在にならしめるのは、自分の内面を見つめて、その中に手を突っ込んで、そこから手に入れた何かでしかないと思うんですよ。小説は物語を通じて、自分の内面と向きあうことができる。そういう想いで『分断を生むエジソン』を書いていたので、佐渡島さんの指摘は、めちゃくちゃ嬉しいです。


僕も追放される日が来るかもしれない(笑)

佐渡島:
確かに『分断を生むエジソン』は、年齢や立場もそうだし、自分が所属している会社のフェーズによって、受け取る印象が全然変わりそうですね。

もしかしたらコルクを創業したての僕が読んだら、これほど面白いと感じなかった可能性もある。社員が30人くらいの規模になって、色んなタイプのメンバーがいる今だからこそ、共感できることが多かったように思います。

例えば、『分断を生むエジソン』で、主人公のアンナは自分が創業した会社を追放されるじゃないですか。僕もいつかコルクを追放されそうだなって思いましたもん(笑)

北野さん:
えっ!? それはどういうことですか(笑)

図1

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