佐渡島庸平(コルク代表)
どうすれば、呪いのような「小言」を言わなくなるか
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どうすれば、呪いのような「小言」を言わなくなるか

佐渡島庸平(コルク代表)

言葉が持つ力について考える。

言霊と言うべきか。その言霊の力まで理解して、言葉を使わないといけない。ファンタジーで、意味を理解することなく魔法の言葉を使うと、予想外の災難を起こしてしまうように。

言葉が指し示すものは、ぼくらが想像しているよりも大きいかもしれない。

日本に住んでいると「まわりに迷惑をかけないように」という台詞を至るところで耳にする。子育ての方針としても「周りに迷惑さえかけなければ、自由に育ってほしい」という人が多い。

以前、乙武さんがコルクラボにゲストに来てくれた時に、「迷惑をかけてはいけない、という呪い」というnoteにも書いて、迷惑について考えたが、言葉について今回は考える。

「迷惑をかけないように」という声をかける時、その台詞を発する人は、相手のことを思いやってる。だから、声をかけることは良いことで、愛情の証明であると感じて、自分を疑うことがない。しかし、その台詞が、話者の心の中に思い浮かんだ状況を想像してみる。その言葉を発する人と受け取る人の間には、何があるのか。

不安である。他人に迷惑をかけて、人間関係のトラブルに巻き込まれるのではないか。そして、そのトラブルを解決しきれないのではないか。もしかしたら、自分がトラブル解決に駆り出されるかもしれなくて、面倒だなという不安が、その言葉の裏にある。

そのコンテクスト全てが、お互いに無意識に伝わってしまう。「迷惑をかけないように」という先回りの親切のつもりの声がけが、「お前は、気をつけないと迷惑をかける存在だ」という呪いの言葉となってしまう。

子育てをしていると、言霊を理解せず、自分の心の中にある不安を外に吐き出したくて、子供に声をかけてしまう。

たかが「大丈夫かな?」という言葉。相手がちょっとしたことを話しやすくするための声がけでしかないような言葉だが、「大丈夫じゃないと思っていて、信頼しきれてない」という言霊まで届いてしまう。

ぼくはこのような呪いの言霊がある言葉たちを、小言と言ってる。

小言を言ってしまう時、問題は相手にあるのではなく、相手にベーシックトラストを持つことができていない自分の側にある。

子供に声がけをする時、ぼくは一度、立ち止まって、小言になっていないかを確認する。

たとえ幼稚園児であっても、自分で考え、自分で決める力を持っている。それを疑った、ベーシックトラストが欠けた言葉になっていないか。

そう振り返ると、他者に声がけをする時は、ほとんどの場合ベーシックトラストがない。立ち止まるとそのことに気づける。

子供が一人で遠出する。「大丈夫かな?心配なことあったら言ってごらん」と今までなら声をかけていた。最近のぼくは、「パパは心配症で、ずっーとドキドキしちゃうから、目的地に着いたら、電話かメールもらってもいいかな。わからないことがあって、パパに聞きたいことがあったら、電話してもいいし、電話があると嬉しいよ。」という感じで、話そうと努力してる。

子供と接してると、何が正解か分からず、こちらも不安になる。その不安を自分が主語ではなく、相手が主語の言葉に置き換えて話してしまって小言になる。

どうすれば、小言を言わなくなるのか。

言葉が、言葉以外を指し示すような使い方をしないこと。言葉が言葉だけが持つ感情を伝えるように使うこと。

遺跡であれば、その土地、建物が背負ってきたものを意識できる。言葉もたくさんの歴史を背負ってる。でも、それをなかなか意識できない。

40を超えて、子育てを通して、繊細な言葉を使わないといけないということを実感できるようになってきて、言葉について考える時間が増えた。

「ゲド戦記」に書かれていることを30年かけて、理解してきて、その物語に宿っていた言霊を、今、ぼくは受け取っているのだと感じる。


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