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「いつも締め切りに追われている」から抜け出すために

「いつも締め切りに追われている」

そんな状態から抜け出すためには、どうしたらいいのか。締め切りに追われて仕事をすると、余裕を失い、質の低下につながる。先手先手で進めたほうが、質を高める余裕が生まれるし、何か予想外が起きた場合も柔軟に対処することができる。

とはいえ、宿題をギリギリになってから取り掛かる人が多いように、先手先手で実行するのは言うは易し、行うは難しだ。緊急度が高いと感じる他のことに目がいったり、「まだ時間があるから」とつい後回しにしてしまう。

そんな中、先日、ある知り合いの経営者から、スケジュール管理について「その発想はなかった」と感じる話を聞いた。

大切なのは、締め切りじゃないという。では、何か。

締め切りから逆算して、必要なタスクをスケジュールに設定していく人は多いだろう。何度もやっている仕事であれば、そうしたスケジュール管理でも事足りるかもしれない。だが、はじめてやる仕事であれば、どうだろうか。慣れていない仕事は、思わぬところに落とし穴がある。そうした想定外が起こると時間的余裕がないから、満足がいかないものをあげる。

そもそも、今の時代、同じ仕事を何度もやるような状況は減っていく。定形的な仕事は、AIがどんどん担っていく。人間に求められるのは、他者とコミュニケーションをとりながら、お互いの持っている個性や強みを組み合わせて、何かしらの「新しさ」を生み出すような仕事になるだろう。

新しいことへの挑戦において、どんな予想外が起こるかは、誰にもわからない。であれば、締め切りを意識しても意味がない。ただ、締め切りに追われ、不完全なものをあげ続ける、自転車操業が続く。

締め切りよりも重視するもの。それは「開始日」だ。

この日から作業を開始する。この日にチームでキックオフをする。そうした開始日をカレンダーに入れて、予定をしっかりとブロックし、その日に絶対に開始する。これを絶対に厳守する。少しだけでも動き出すと、全体の大変さがイメージできて、より精緻なスケジュールを切ることができる。

いつまでにやるかではなく、いつからやるか。

開始日から逆算して計画を立てていくと、「いつまでに、どのような状態にまで仕上げたいのか?」といった自分の意思が計画に反映されていく。締め切りという制約のもとに立てられた計画から、自分の意思に基づいた主体的な計画へと変えていくことができる。

多くの場合、締め切りとは、上司や取引先といった他者から与えられる。その与えられた締め切りに盲目的に従うのではなく、自分の意志を反映した計画を提案し、相手と議論できるのが本当のプロフェッショナルだ。

こうした話を聞き、目から鱗が落ちる想いがした。

ぼく自身を振り返ると、週刊誌の編集者だったから、締切起点でものを考えていた。「いつからやるか」を習慣にできたら、様々な物事の進み具合が圧倒的に変わってきそうな予感がする。

まずは、社内でこの話を共有してみて、自分たちの仕事の進め方をどういう風に変えれるかを話し合ってみたい。


今週も読んでくれて、ありがとう!この先の有料部分では「最近読んだ本などの感想」と「僕の日記」をシェア。

また、ぼくがどのようにして編集者としての考え方を身につけていったのかを連載形式でシェアしていきます。コルク社内の中堅社員にインタビューをしてもらってまとめた文章を有料部分で公開します。

取材前に、記事を八割完成させる

観察をして仮説を持つことの重要性を、このコラムでは繰り返し話している。今回は、編集者なら誰もが経験する「取材」を例にしてみよう。まさに観察力が問われる仕事だ。

『ドラゴン桜』立ち上げの頃、まずは自分の受験勉強法を伝えたのだが、すぐにネタを出し尽くしてしまった。三田さんからは、「大学の友達に聞いて回ってこい!」と言われ、友人たちに取材してみたものの、漫画に描けないような突拍子もないエピソードばかり話してくる。そのときは途方に暮れていたが、決して彼らが悪かったのではなく、ぼくの取材力が低かったせいだ。

取材力が低いとはどういうことか。

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表では書きづらい個人的な話を含め、日々の日記、僕が取り組んでいるマンガや小説の編集の裏側、気になる人との対談のレポート記事などを公開していきます。

『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』などのマンガ・小説の編集者でありながら、ベンチャー起業の経営者でもあり、3人の息子の父親でもあるコルク代表・佐渡…

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