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魂が乾いてる人たち

 久しぶりに海外ドラマにはまった。海外ドラマって、1、2話は面白くみても5話くらいでお腹いっぱいになって観るのをやめてしまうことが多い。

 『サバイバー 宿命の大統領』は違った。たった1週間で21話すべてをみてしまった。ここまで海外ドラマにはまったのは初めてだ。

 とにかく脚本が、素晴らしい。政治という難しいテーマをすごくわかりやすくしているし、15分ごとにヒキをしっかり作っている。毎話、終わる時のヒキは強すぎて、先が気になって観るのをやめることができない。

 多くの人は、テロの犯人は誰か?というサスペンスに興味を持つのだと思う。僕は大統領にかなり感情移入をしてみた。

 協力者がいない大統領が、徐々に信頼を勝ち得て、仲間を増やして行く姿をみながら「なるほどこういう風に伝えればいいのか」と自分の過去の経験をたくさん思い出した。

 すごーく楽しく観た。はまっている時の僕は興奮していたと思う。でも、このブログを書きながら、僕の心は興奮していない。先週、ブログを休んだ。上海出張中で、書く時間の確保が難しかったというのもあるけど、『サバイバー』について書きあぐねていたからでもある。

 海外ドラマは、非常によくできている。僕には再現できない。そのクオリティーに圧倒される。編集者として学ばないといけないところはたくさんある。でも、共同作業で作った作品はどれだけ精緻なものであっても、作家の魂は弱まると思う。僕は、作品の中に宿った作家の魂に呼応して感動する。小説やマンガで感動した時、その感動は反芻され、1週間後でも、1年後でも、10年後でも、その感動は心に残っている。

 残念ながら『サバイバー』でもたらされた興奮は、もう残っていない。

 その差は何なのかをこの1週間ずっと考えていた。

 僕が一緒に仕事をしている作家は、生み出す作品によって自分の魂を救おうとしている。精緻な作品にするのは、商品にするためだ。創作で魂を救ったあとにプロとしてする作業だ。作家の魂を救い、その後、世に送り出して読者の魂も救う。2度、魂を救う作品が、僕は好きなのだ。作品を読みながら、これを作って、作者は幸せになっただろうなと想像できる作品が、僕は好きなのだ。荒削りで商品になっていなくても、新人の作品に魅了される時があるのは、まさにその作品が新人を救っていると感じるからなのだ。

 Netflixもディズニーも、これからどんどん精緻な作品を仕上てくるだろう。そして、僕はそれに圧倒されるだろう。でも、僕が一緒に仕事をしたいクリエイターは、創作によってまずは自分の魂を救おうとする、魂が乾いている人たちなのだ。

 『サバイバー』は、はからずも自分が何を好きなのかを言語化すきっかけとなった。

 今週もありがとうございました。僕のツイッターアカウントは、@sadycorkです。

 毎回、購入とサポートをしてくださる方、本当にありがとうございます!先週、休む時にその方達のことをすごく考えました。この購入とサポートの仕組みは、連帯感を感じさせてくれますね。読んでいる人と連帯感を覚えながら書けるのは、すごく幸せなことです。

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 6才の息子がお年玉に800円を追加して、水槽を新しく買いたいとのこと。どうやったら800円を稼げるのかと聞かれて、YouTuberになれとアドバイスしたもののさすがにやり方がわからないようです。今週は、息子が僕について書いた絵本『新種のナマケモノ』を公開して、それを息子へのお小遣いにします。

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