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4行日記を継続すると、何が見えてくるか?

日々をより深く味わうために欠かせないもの。それは「振り返り」の正しい姿勢だと、ぼくは考えている。

振り返りを行うと、自分の思考が整理されるだけでなく、「もっと、こうなりたい」「次は、こうしたい」といった気持ちが自然と湧いてくる。
自分の欲望の輪郭を捉えることができる。

振り返りとは、ある種、自分を観察する行為と言ってもいい。

ぼくは複数の「型」を使って、振り返りをしている。

例えば、noteのような場で自分の思考をテキスト化するのと、Voicyのような場で音声に出して自分の思考を語るのでは、同じ趣旨でも自然と言葉の選び方や言い回しが変わってくる。

自分向け、外向け。
音声、文章。
短い、長い。

以前投稿した『創作に携わる者として、どう自分を客観視するか』というnoteに詳しく書いたが、幾つかのスタイルを組み合わせて、自分の考えをアウトプットすることで、思考をより明確にしている。ぼくが複数のメディアを使って発信しているのも、これが理由のひとつだ。

そんな風に「振り返り」について模索するなかで、昨年から新しく始めた取り組みがある。

それが、4行日記®︎だ。

昨年投稿した『思考の癖の発見に、4行日記がオススメ』に詳しく書いたが、4行日記では4行からなる日記で毎日の振り返りをしていく。

最初の行に書くことは「事実」だ。今日あった出来事の中で、自分が重要だと思ったものをひとつだけ選び、事実のみを書く。主観を排除する。
次の行は「発見」で、事実から気づいた、普遍的な法則、真理を書く。
その次は「教訓」で、発見したものを普遍化させ、自分自身へと言い聞かせるような教訓とする。
最後は「宣言」で、自分はどういう存在なのかを宣言する。

ポイントとなるのは、最後の「宣言」だ。

たとえ現在はできてなかったとしても、「こういう自分でありたい」と思っていることを、まるで達成できているかのように現在完了進行形で宣言する。

例えば、
「私は世界の夢中を生み出している経営者です」
と宣言する。

今のぼくの状態は、この宣言とは離れている。しかし、その宣言を強く念じていると、現実とセルフイメージの間で、脳内に認知的不協和が生まれる。
その不協和を解消するために、様々な思考や行動が無意識のうちに変化していく。日常が変わっていく。

暗記して、自分の潜在意識に働きかけたいから、4行日記は出来るだけ簡潔に書くほうがいい。

昨年から4行日記をはじめたわけだが、かなりの量のアウトプットが蓄積されてきたので、先日、その内容を元に研修を受ける機会があった。

溜まった自分の日記を読み返していくと、自分はどんな人間なのかが見えてくる。
自分がどんな価値観を大切にしていて、どういう人間でありたいのかが、自分の言葉で伝わってくる。4行日記を継続することでしか見えない景色がそこにはあった。

それでハッとした。
コルクの「ミッション・ビジョン・バリュー(行動指針)」で使用されている言葉が、あまりにも登場していなかったからだ。

この数年間、経営者として、コルクの文化をしっかりと育てていくことに力を入れてきた。そのためにも、「バリューを体現するとは何なのか」をメンバーに伝えていくのが、自分の一番の仕事だと捉えていた。そして、メンバーにもっと文化を体現するように、言葉として使うように話していた。
でも、ぼくは自分が体現できてると傲慢に思い込んでいるのか、その言葉を使っていなかった。

宣言の内容を改めて見返すと、意味している内容は、ミッション・ビジョン・バリューで語っている内容と近い。ただ、方向性としては同じでも、言葉が重なっていない。

4行日記の宣言に書かれている言葉は、普段のぼくが自然と口にしている言葉の可能性が高い。そうすると、新しく入ってきたメンバーには混乱を生んでしまっている可能性がある。
意味するところが同じであるならば、言葉を揃えて、わかりやすく発信したほうがいい。

文化が生まれていくとは、お互いの言葉が揃っていくことだ。
コルクのバリューのひとつである「やりすぎる」とは何かの説明を社員に求めた時、人によってバラバラの答えが出る状態では文化が生まれているとは言えない。
ぼくが文化の体現をやりすぎていなかった。

同じ言葉を使って、その言葉が意味するところを伝えていくことに、もっと意識的にならないといけない。4行日記の振り返りを通じて、そのことに気づくことができた。

こうした言葉の使い方について、日々の振り返りで自分で気づくことは難しい。
4行日記の考案者である小林博士は「少なくても50日間は4行日記を続けてほしい」と言っているが、振り返りを振り返ることの価値を今回感じた。


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表では書きづらい個人的な話を含め、日々の日記、僕が取り組んでいるマンガや小説の編集の裏側、気になる人との対談のレポート記事などを公開していきます。

『宇宙兄弟』『ドラゴン桜』などのマンガ・小説の編集者でありながら、ベンチャー起業の経営者でもあり、3人の息子の父親でもあるコルク代表・佐渡…

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